一般社団法人京都会所
京都会所の役割
京都会所は「現代版の会所」を目指しています。未来の世代のために、日本の伝統を復活させるために人々を結びつける活動。京都会所は、ドキュメンタリー・プロジェクトだけでなく、地元のリーダーを教育することによって、これを実現しています。
失われたり、忘れ去られようとする日本の伝統的な文化を学び、現代人の目で再認識し、現代、未来という文脈のなかでどうやって文化に価値と活用の場を見いだすか、ということを考える事。
創り手や演じ手、彼らが創り出すものを必要としている人々とのマッチング。そのままでは現代にそぐわないものを現代の文脈に引き戻して再表現するために、現代の目利き、キュレーター役を担うこと。
そしてそれを可能にする場とネットワークを提供することだと考えます。
文化は日本の観光資源であり、世界が注目する日本ブランドの源です。海外の旅行者の多くが日本の歴史や文化の特異性に惹かれて来日します。サブカルやアニメのような現代文化を求めてくる人も大勢いますが、圧倒的多数は古い歴史が育んだ文化に誘われてくるのです。
ところが我々はその文化資源をあまり大事にせずに、自分たちが国際化することを優先していないでしょうか?
「会所」は自分たちが忘れそうになっている、とても大事ななにかに触れ、気付き、そして受け継ぎ、育てて行くきっかけになる場であれば良いと祈っています。
日本の文化の多くが忘れ去られてしまう前に、京都会所が日本文化の活性化のために重要な役割を果たし、文化的意識の高い新世代の人々に感動を与え、育てていくことを願っています。
旧公家 近衛家当主
近衛 忠大
会所の現代性
このたび日本文化をさまざまなかたちで継承・発展させていくための魅力的なプロジェクトが立ち上がり、その活動の総体が「会所」というキーワードで表現された。会所という言葉を発掘された関係者各位の彗眼とプロジェクトの込められた高邁な趣旨に心からの敬意を表したい。
どの時代にも人の集まる空間や場は存在した。ヨーロッパではそれが広場という象徴的な場に結晶したが、わが国では自由な寄り合いは室内空間のサロンからスタートする。そのような場を当時の人々は「会所」と呼んだ。会う所、つまり人が集まる場ということに会所の本義があった。中世の終わりとともに建築としての会所は消滅するが、近世にはあらたに都市的な意味を担って会所が再生する。
たとえば京都の町人が日常的な会合や町の取り決めのために街には必ず町会所をつくった。ふだんは一般の町屋と変わりないが、祇園祭など非日常的な祭礼の時には毛氈や屏風などによって飾られ、室内空間は道ゆく人々に開かれる。こうして会所は都市の公共性を担うようになる。
場としての会所は、その後の近代・現代都市に繰り返し再生された。近代以降登場する倶楽部、集会所、近代的な広場などがそれである。
会所の本質は、私利私欲を超えて、文化的・精神的価値を社会に広めるための心の集いの場でした。それは崇高で力強い試みです。自由で機知に満ちた人々の共同性や交流にあるとしたら、それはつねに現代的なテーマでありうるのでしょう。
「京都会所」が日本の文化を未来の世代に向けて育て、発展させていくことを大いに期待しています。
東京大学大学院 工学系研究科建築学専攻教授
伊藤 毅
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